しゃがむために大事なこと
しゃがむという動きは股関節症の方にとって、難しい動作の一つではないでしょうか。
近年では洋式のライフスタイルが定着し、しゃがみ込む機会は減っていますが、例えば、
床に置いてある物を取ったり、靴紐を結んだり、日常生活の中にはまだまだしゃがむ機会は多いです。
今回はしゃがみ動作と股関節の関係について考えていきます。
まずしゃがむときに必要な股関節の動きとはなんでしょうか。
それは股関節の屈曲です。
股関節が十分に曲がらないと、しゃがむことはできません。
股関節に問題があると、屈曲可動域が悪くなって、しゃがみ動作が困難になります。
ですから屈曲可動域を改善するために、股関節の屈曲に関与する筋肉を徹底的にほぐしますが、
それだけでは、なかなかしゃがめるようにはなりません。
どうやら原因は股関節だけではないようです。
そこで次は股関節の屈曲を詳しく見ていきます。
じつは股関節(=寛骨大腿関節)は平均して70゜しか曲がらないといわれています。
ですが股関節の屈曲の可動域は125゜です。(上の図だと133゜になっていますが……あくまでもおおよそです)
では残りの角度は、どこが補っているのでしょうか?
まず約20゜の角度が股関節前面の軟部組織(脂肪や筋肉)が圧迫されることでうまれます。
残りの40゜は、骨盤の後傾や脊柱の動きが関与しています。
単純に股関節を曲げるだけでも、このようにいくつもの要素が組み合わさって成り立っています。
股関節が曲がらない方は、股関節だけでなく骨盤や脊柱の動きもケアする必要があります。
反り腰や出っ尻であれば骨盤が前傾しています。その場合、股関節の屈曲を構成する骨盤後傾が出にくいため、
股関節を十分に曲げられず、しゃがむことができません。
骨盤や腰椎の動きを良くするために筋肉をほぐすことが重要なんです。