歩行について その2
歩くときに、足が後ろに伸びないという方は多いのではないでしょうか。
下の絵のような足を後方に伸ばす動きを股関節の伸展といいます。
歩く際には、足で地面を蹴り出すときにみられる動きですが、じつはこの蹴り出しが十分にできないと、
歩行に悪影響を与えることがあります。
歩行とは「運動エネルギー」と「位置エネルギー」の変換によって効率的に行われています。
楽な歩き方とは、この2つのエネルギーの変換を如何に上手く行うかということです。
地面を蹴り出すことで運動エネルギーが生まれ、そのエネルギーによって前方に足が振り出されます。
そして踵から接地することでブレーキがかかりエネルギーの向きが上方に変わります。
ここで運動エネルギーが位置エネルギーに変換されて、重心(=骨盤)が上方に持ち上がります。
あとは重力によって重心(=骨盤)が高い位置から降っていくときに、位置エネルギーが運動エネルギーに変換されて身体を前方に運びます。
このように、運動エネルギーと位置エネルギーの変換を繰り返すことで、人は省エネ歩行ができるわけですが、より効率的に歩くために重要なポイントがあります。
それは蹴り出しとブレーキがしっかりと行えることです。
股関節の伸展ができず、蹴り出しがしっかりと行えないと、生まれる運動エネルギーは少なくなります。
するとブレーキ時に上方に変換されるエネルギーも少なくなり、重心が持ち上がりません。
重心が上下動せず一定の高さだと、エネルギーの変換ができないため、筋肉を使って歩くことになります。
これは非効率で、すぐに疲れてしまう歩き方です。
股関節を伸展する(足を後ろに伸ばす)と、ソケイ部(股関節の前側)に痛みや硬さ・突っ張りを感じるという方は、腸腰筋が硬くなっています。
蹴り出すときに腸腰筋が伸びることが、効率的なエネルギーの変換には不可欠です。
負担の少ない楽な歩き方ができるように、固まってしまった腸腰筋をほぐして、股関節の伸展を改善することが重要です。