骨の棘
股関節症の方のレントゲンで、よくみられるのが『骨棘』です。
臼蓋の縁から外に伸びる骨で、突起状の形から棘のように見えます。
骨棘は変形性股関節症の進行期から末期にみられ、一般的には進行を意味するものとして
歓迎されません。
股関節痛の原因を「この棘が刺さって……」と説明する医師もいると聞きます。
しかし、実際には骨棘形成が進むことで股関節痛は改善していきます。
なぜかというと骨棘が形成されたことで臼蓋に屋根ができ、股関節の荷重面が拡大するからです。
骨棘は臼蓋の縁から突起状に伸びているので、正面からだと棘のように見えますが、
下方向から見ると帽子のツバのような形をしています。
これは大腿骨頭をすっぽりと覆うことができない臼蓋の浅さをカバーするために、
屋根のように骨が自発的に伸びてきたものです。
【骨のトゲ】というと、いかにも身体にとって良くないもののように思いますが、
決して無秩序に変形しているのではなく、股関節を安定させるという目的のため
定型の修復を行っているのです。
これは人間が持つ自然治癒力がしっかりと働いた結果なのです。