痛いのは筋力が足らない?
現在の医療現場では、痛みに対して筋トレを指導することが当たり前となっています。
患者さんのお話を伺っていると「股関節の痛みには筋肉をつけるように」と病院で言われたことがある方はほぼ100%です。
しかし筋肉をつけなきゃと言われて、トレーニングを行い、痛みが増えてしまうケースは非常に多いです。
これは硬く縮んだ状態の筋肉に負荷をかけたことで、余計に筋肉が硬くなり縮んで痛みが出たということです。
私たちの身体は、筋肉が伸ばされたり、縮んだりすることで血管も刺激をうけて、組織の隅々まで血液が流れています。
筋肉が硬まっている状態では、血流循環が悪くなり、疲労物質や発痛物質が処理されず筋肉内に溜まり、痛みが起こります。
この筋肉の痛みが、反射的に血管を縮めて、さらに血流循環は悪くなり、痛みを強くします。
こうなると、筋肉は疲れやすくなり、筋力を十分に発揮できなくなります。
長い距離を歩けなくなったり、階段を上るのに苦労したり。
以前は当たり前にできていたことができなくなったのは、筋力が低下したからではありません。
もともとの筋力を発揮できないからです。
筋肉の状態が悪くて、20%の筋力しか発揮できないとしたら、どうなるでしょうか。
長い時間歩けるでしょうか。階段をスタスタ登ることは可能でしょうか。
日常生活の様々なことに制限や不調を感じるのではないでしょうか。
原因は筋力低下ではなく、出力の問題です。
こういう時は筋肉の量を増やすのではなく、筋肉の質を良くすることが大切です。
『痛みがあるのは筋肉が無いから、弱いからだ』と、トレーニングを頑張った結果、本来持っている筋力を出せない状態になっていませんか。
筋トレをして、痛みが増すようなら、または症状が改善しないようならば、一旦中止することが必要です。
その時間を筋肉をほぐすことに使ってみてください。