重心の位置を考える
重心の位置を考えることは、股関節の治療では重要です。
今回は立っているときの重心の位置と重心線についてお話したいと思います。
人の身体の重心は、骨盤内で仙骨のやや前方にあります。
重心位置の高さは床面から計測すると、成人男性で身長の約56%、成人女性では約55%の位置にあります。
女性の重心が男性より、わずかに低いのは骨盤の形の違いによるもので、男性の骨盤は細くて深く、女性の骨盤は広くて浅い形状になっているからです。(重心の位置や骨盤の形には個人差があります。)
重心を通る垂直線のことを重心線といいます。
立位において理想とされる重心線は、横からみると「耳垂→肩峰→大転子→膝関節の横→外果(くるぶし)の前方」を通り、
後ろからみると「外後頭隆起→棘突起→殿裂→両膝関節内側中心→両内果間中心」を通ります。
この線がずれると安定性が損なわれます。
股関節の治療では姿勢や歩行を観察し評価しますが、常に重心の位置を意識しています。
重心の位置変化は、全身の関節や筋肉に大きく影響を与えるからです。
上の図を参考に、自分の姿勢をチェックしてみてください。
普段から姿勢を意識して生活し、そのうえでマッサージやストレッチを行っていくことで身体は変化していきます。